産後うつについて
このグラフは、2018年国立成育医療センターが発表したデータです。
出産後1年未満に死亡した女性について分析したところ、自殺が92人で最も多く、次いでがんが70人などでした。
自殺した時期をみると、出産後すぐの1か月ですでに10人で、その後も続き、9か月で13人など、1年を通して起きていました。
#1
産後うつは、うつ症状だけが問題なのではありません。
産後うつにより、母親自身が自殺をはかったり虐待や
育児放棄につながる恐れがあります。
また、1人目の産前は2人目、3人目を考えていても、
心身の状態の悪化により、諦めてしまうことで
少子化という大きな社会問題の原因にもなっているのです。
#2
これらは当協会が2019年に調査した結果です。
この調査に回答してくださった96%が精神的な疾患は抱えておらず、自治体にハイリスクと認定されてない、
いわゆる「普通」のご両親たちです。(このアンケートの回答は9割が母親)
つまり、「普通」に見える母親の9割以上が、いつ産後うつを発症してもおかしくない状態で子育てをしているということです。
私たちは、以上の現状から、産後うつになってからでは遅い!未然に防ぐための施策の強化が必須だと考えています。
その為に、
・親が産前から安心して頼れる居場所作り
・子育て当事者の声を政治や行政に伝える政策提言
・子どもを社会全体で見守れる文化作り
に取り組んでいきます。
産後うつ予防を掲げる私達が、なぜ、ベビーマッサージ教室を全国で開催しているのか
産後うつの原因について、下記のように考えられています(厚生労働省 e-ヘルスネット参照)
・親子のスキンシップ(ベビーマッサージ)
・社会との繋がり
が、大切であると考えます。
なぜなら…
親に触られたり見つめ合ったりすると、 赤ちゃんの心拍は安定してリラックス状態になり、
脳の視床下部からオキシトシンが分泌されます。
オキシトシンは相互に作用するので、 赤ちゃんはもちろん、触れている親にも分泌されます。
分泌されると、やさしい気持ちや幸せな気分になるため、愛情ホルモン、幸せホルモン、絆ホルモンとも呼ばれます。
愛着を深め成長を促すだけでなく、ストレス反応を弱める、 情緒を安定させるなどの効果をもたらします。
更に、海外の研究でも、ベビーマッサージには下記のような効果が証明されています。
・母親 抑うつ症状を緩和( Field et al,1996)
・抑うつ的な母親 子どもへ 愛着(ボンディング) 形成(Gürol & Polat 2012)
・抑うつ的な母親と赤ん坊 相互作用を改善(Onozawa etal.,2001)
・左右脳半球 対称性を高める(Aaron & Field,1999)
・赤ん坊 睡眠 質が上昇、活動性高まる(Onozawa et al,2001)
また、上記の図にある、母親の「1人でやらねば」「やるべき」という思考を軽減するためには、
・同じ立場で、境遇を理解し合える親同士のコミュニケーション
・親の状況や気持ちを気兼ねなく話せる、信頼できる人の存在
・的確な子育てに対するアドバイス
が必要になります。(当協会実施 産後うつによる虐待予防のための実態調査 から)
これらの理由から、当協会では親子がスキンシップをはかりながら、気軽に会話ができ、子育ての相談ができる場として、
ベビーマッサージ教室を全国に展開しています。
(桜美林大学 リベラルアーツ学群教授 山口創先生 監修)