ホーム > インフォメーション一覧 > 忘れられている「父親の子育て支援」〜死亡の2歳男児 衣装ケースの中で圧迫され窒息事件に思う〜

父親の虐待による2歳児の死亡事件に思う、子育て支援のあり方

こんにちは。乳幼児子育てサポート協会の行本(ゆくもと)です。

先日「死亡の2歳男児 衣装ケースの中で圧迫され窒息」という、言葉が出ないくらい痛ましい事件がありました。

男の子のご冥福を心よりお祈りするとともに、一緒に閉じ込められていたおねえちゃんの心が、どうか壊れませんよう…。

周りにいる大人が、お姉ちゃんんの心をしっかりとフォローする体制ができていることを願ってやみません。

今後、このような悲しい事件が一件でも減るよう、私個人として、この事件の背景にあるものと子育て支援のあり方についての考えを記します。

数字で見る虐待の現状

まず、知っておかなくてはいけないのは、虐待の現状です。

下記は、厚生労働省のこちらのページから見ることができる、虐待に関するデータです。

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まず、虐待をするのは、誰なのか?というと、母親が一番多く、57.3%。

続いて、父親が母親の約半分の29.0%となっています。

これは、どういことかというと「子どもと一緒にいる時間が長いほど、虐待をする可能性が上がる」ということです。

※子どもと一緒にいるからといって、すべての親が虐待するわけではありません。あくまでも虐待と認定された事件の統計上の話です。

続いて、虐待を受けた子どもの年齢ですが、小学生が35.2%と一番多くなっており、続いて3歳から就学前のお子さんが24.7%となっています。

これは、モノ言わぬ赤ちゃんだった(=ある程度親の思い通りになった)子どもが、成長し1人の人間として意思を持ちながらも(=親の思い通りにならなくなってきた)、まだまだ親のサポートが必要な時期に、虐待が多く行われているということです。

私が見る子育て支援の現状

現在、行政での子育て支援は、多くの地域で

・産前のマタニティ教室(夫婦で参加できるものが2,3回)
・産後のこんにちは赤ちゃん事業(母親との対面フォロー)
・定期検診(0歳から1歳半は、頻回。その後、健診の間隔が大きく空く)
・窓口での相談受付(かなり緊急度が高い相談でないと、行きにくい雰囲気)

 
となっています。

他にも、無料の離乳食講座など、ありますが、ほぼ「母親のみ」で参加する支援ばかりです。

(父親が参加できるイベントを開催している地域があるのは、存じておりますが、まだまだ地域も開催数も少ないのが現状です)

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つまり、母親は10ヶ月かけて自分のお腹の中で子どもを育て、陣痛などの痛みを経て出産をします。

更に、行政・民間を含めた子育て支援などで、

ーーーーー
・子育ての方法や子どもの成長の仕方などの知識を得る場所がある
・子育ての相談をする場所がある
ーーーーー

のですね。

しかし、父親は、急に子どもが目の前に現れる(=女性が出産)にも関わらず、

ーーーーー
・子育ての方法や子どもの成長の仕方などの知識を得る場所
・子育ての相談をする場所
ーーーーー

が、ないのです。

更に、今の日本は「男性が家計を支えるために、働く」ことが常識になってしまっています。

男性は長時間、休みも少ない状態で働いていますから、子どもと接する時間も、かなり限られています。

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子どもと接する時間が短ければ、どのように子どもと触れ合えばいいのかわからないですし、それを相談する場所もない…これが、男性が虐待する一員ではないかと考えます。

今度の子育て支援のあるべき姿(行政への提案)

以上のような状況の中で、私が考える今後の子育て支援のあり方について述べたいと思います。

家族単位、かつ妊娠中から就園前までの包括的な支援

現在の子育て支援は、「母親の支援」に偏っています。

父親に対しては、殆どの自治体が妊娠中の両親学校が1回ある、程度ではないでしょうか?

ですから、まず、妊娠期間から就園前まで、父親も強制的に参加する「子育て学校」が必要だと考えます。

民間では強制することはできませんので、これは行政の…国で決めていいただきたいと考えます。

「子育て学校」では、

・妊娠中から産後の女性の変化
・男性の気持ち(夫婦相互理解のため)
・夫婦のコミュニケーションのポイント
・子どもの月齢別の発達について
・子どもとの月齢別の遊び方
・子どもへの効果的な声のかけ方
・苛々した時の、親の対処法

 
など、子育てに関する知識はもちろん、夫婦関係に関すること、親の精神的なフォローなど、親と子どもを含めた「家族」単位での知識を伝えることが肝要だと考えます。

このように父親も参加できる「子育て学校」ができると、色々な子どもと接することもでき、自分の子どもだけがうるさい・やんちゃだ、などと感じることもなくなるでしょう。

また、子どもにルールなどを教えたい時にも、効果的な声がけの仕方を教えてもらうことで、虐待などの体罰を与えず、言葉でのコミュニケーションで伝えることができるようになります。

男女の産前産後の変化を知ることで、夫婦間のすれ違いも格段に減り、親の気持ちが安定するため、子どもへのゆとりをもって対応することができます。

ですから、父親も参加する「子育て学校」の構築を強く勧めます。

カリキュラムに必要なコンテンツは、当協会でも、持っておりますので、行政関連の方にご提案していきたいと思います。

手軽な子育て情報の発信


今の子育て支援情報は「求めなければ手に入らない」状態です。

親自身が疑問を感じたり、苦しいと感じないかぎりは、情報が耳に入らない仕組みなのです。

ですから、私は行政からの定期的な、子育てメールマガジンの配信を勧めます。

配信の方法はラインなど、その時代にあったものを使えばいいと思いますが、親のスマホ(つまりは手元)に、直接、情報を届けることが肝要だと考えるのです。

母子手帳の発行の際に、強制的に父親・母親ともに登録をしてもらう、などすれば、親の手元に行政からの情報を届けることは簡単にできます。

ただし、ここで届けるべき内容は、単なるイベントの情報などではなく「親の心に寄り添った」内容であることが大切です。

この方法は「開封されないリスク」がとても大きいです。

それでも、地道に届け続けることで、行政と親との距離が近づきますので、なにかあったときに、行政を頼ろうと思えるきっかけになります。

ということで、今回の事件に関連して私の意見を書かせていただきました。

この時期で提案したことが実現できるよう、行動していきたいと思います。

 
 

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